INTRODUCTION
半導体の進化と携帯電話の変遷
1940年代にトランジスタが誕生して以来、
劇的な進化を続ける半導体。
ここでは、私たちが普段手にしている
スマートフォンに着目し、
半導体の進化と携帯電話の変遷が
どのような関係性をもつのか見てみよう。
携帯電話の夜明け
1870年代に電話が発明され、日本でも1890年代にサービスが開始された。そして戦後の高度経済成長期にいわゆる「黒電話」が各家庭にも普及しはじめた。
その後、1980年代に肩掛け型の携帯電話が登場。しかし、約3kgものバッテリーを搭載しながらも、連続通話時間は約40分。基本料金は数万円もかかった。そのため、日常的に利用する人たちは記者などに限られた。誰でもどこでもコミュニケーションを取るためには、小型化、軽量化、そして低コストでの商品開発を進めることが求められていた。
携帯電話のめざましい発展
1990年代以降、携帯電話は小型化・軽量化および多機能化の面でめざましい発展を遂げていく。それを実現させた大きなきっかけの一つが、多数の半導体素子を高密度に集積したLSI(=Large Scale Integration=大規模集積回路)だ。
LSIは、計算をおこなうCPUや記憶装置であるメモリの役割をもち、高速かつ低電力で処理を実行できる。そのため、従来の通話だけの機能に加え、データの記憶、ディスプレイの描画、カメラでの撮影・録画、データ通信など、さまざまなことが小さな携帯端末一つで可能になった。
未来のデバイス
2013年以降は、スマートフォンの出荷台数がいわゆる「ガラケー」を超えるようになった。これにも、半導体技術の進化が関連している。例えば、ディスプレイが大画面かつ高解像度化し、処理・記憶できるデータ量が大幅に増加したこと。これは、半導体のさらなる微細化と高性能化が進み、より小さなスペースで、より多くの情報を、より速く処理できるようになったからだ。
これからは、いま以上にデバイスが多様化するかもしれない。例えば、人工知能処理を得意とするデバイス、さらに人間の脳を真似たニューロモルフィックデバイス。量子コンピューティングや量子センサーなどの量子デバイス。ディスプレイ分野では、ヘッドマウントディスプレイによるVRや、さらに進んだ立体映像「ホログラム」。紙のように薄くて曲がるディスプレイ。また医療分野でも多くのデバイスの活用が期待されており、例えば少ない負担で体内に埋め込めるデバイスも増えるだろう。
一方、すでに現在クラウドコンピュータなどで半導体デバイスの消費電力量はきわめて大きく、大幅な省電力化が最重要課題となっており、各種の不揮発性デバイスや新材料のパワーデバイスなどが期待されている。これらの半導体技術の進化により、これからも新しい快適な世界が広がっていく。
半導体が支える高速通信技術
デバイスの進化を語るうえで忘れてはならないのが、通信技術の向上だ。いま、膨大な機器が常時ネットワークに接続され、世界中のデータ量は、10年で10倍以上増加しているといわれる。
これほど多くの情報を取り交わすことができるのは、各地に建造されている大規模なデータセンターのおかげであり、それを支えるのが半導体や半導体製造装置の進化だ。また、今後はユーザーに近い場所に多数のサーバーを配置する「エッジコンピューティング」も本格化し、クラウドコンピュータとの通信量もますます増加していくため、さらなる通信の高速化が要求される。今後の通信速度向上を左右する半導体の性能向上は、IoT時代に欠かすことのできない技術テーマと言えるだろう。